様々な課題とハードル
電子書籍のメリットを考えると、今後、電子書籍の市場がのびていくのはまちがいないでしょう。その時に作家やユーザー側がきちんと保護されるためには、様々な課題をクリアしていく必要があります。まず、日本ではフォーマットの問題。各社でバラバラのフォーマットを「囲い込み」しようとしていますが、これを1本化するか、せめてフォーマットが変換できて別の端末でも読めるような措置を講じなければなりません。また、アメリカと比べると、電子書籍の印税に関しても日本ではまだまだ意識が進んでいません。一般に、紙の本の印税は売価の10%と言われています(作家によって出版社との契約内容はちがいます)。それ以外の90%は、紙の本を作るためのコスト、書店の利益、取次、出版社の利益などに配分されます。しかし電子書籍は本体のコストはほぼゼロ、せいぜい電子書店を経営するためのメンテナンスなどの経費です。紙の本と同じように10%を印税とすると、コストがかからない分、これまでよりもずっと出版社側の利益が大きくなります。これでは作家に対してフェアとは言えないのではないでしょうか。そしてまた、安いコストで作られている本を同じ値段で売られる消費者側にも不利益ではないでしょうか。アメリカでは、一般に電子書籍版は紙の書籍よりも安く、そして印税も電子書籍では30〜35%としています。日本ではこれまでの慣習や、法律などの問題もまだありますが、今後、このあたりのことは考えていかねばならないでしょう。また、日本の著作権法は古く、電子書籍についてはその中に含まれていません。そのため、出版社とこれまで交わされた出版契約には電子書籍の出版権が入っておらず、電子書籍化するにあたっては出版社がまた作者と契約を結ぶ必要があります。海賊版についての対策も必要になります。2009年の著作権法改正でも、違法にアップロードされているコンテンツについて、アップロードした人だけでなく違法性を知りながらダウンロードした側も法律違反と見なすことが決定されましたが、その違法行為についても「録画・録音」に限定されています。電子書籍はまだ、ダウンロード側への違法性が定義されていないのです(勿論、アップロードは現状のままでも著作権法違反です)。こうした契約上、法律上の問題も、今後の日本における課題となります。
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